メガネをしたくない方には、大変喜ばれる眼内レンズです。
現在まだ主流の単焦点眼内レンズは非常によい結果をもたらすのですが、その欠点は調節力がない、つまり手術後もメガネが必要になることが多い点でした。
それに対し、メガネをするのに非常に抵抗があるという患者さんには、今までのレンズに比べてメガネを使用する頻度が極めて少ないレンズ、それが多焦点眼内レンズです。
ただし、単焦点レンズに比較し、幾つか大きくちがう点があるので、その特徴をよく理解してから決めていただくのが良いでしょう。
単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの特徴の比較
単焦点眼内レンズ | 多焦点眼内レンズ | |
手術後のメガネ使用 | メガネを必要とするひとが8割以上 | メガネを必要とするひとは2割くらい |
車の運転 | ほとんどが可能 | 2割のひとが夜の運転がしにくいと感じる |
費用 | 保険適応 | 通常の保険適応がありません |
見え方に慣れるまでの時間 | 術後の見え方の慣れは早い | 術後の見え方に慣れるのに1~2週間、場合により数か月 |
当院での使用者 | 95%以上 | 5%以下 |
手術の難しさ | 普通 | やや難しい場合あり、特に乱視がある眼など |
レンズが合わず交換手術が必要になる可能性 | 1000分の1以下 | 約100分の1くらいに入れ替えが必要になるひとあり |
多焦点眼内レンズを使用した場合、メガネを使用しなくても日常生活ができるという点はよいのですが、非常に細かい作業や夜間の車の運転には向かない場合があります。
これはメガネをしても解決しない場合があります。
非常に細かい文字や図表などを見た時は、色が薄く見えてくっきりしないと感じる可能性があります(コントラスト感度の低下)。
夜の屋外の外灯、屋内の照明を見ると強く光が散るように見える場合があります(グレア)また光に輪がかかって見えることもあります(ハロー)。
多焦点眼内レンズは単焦点レンズに比べてかなり微妙な調整が必要です。乱視の影響、年齢の影響もあるので診察や検査をして適応するか調べます。
うまく適合したひとの喜びは大きいのですがときおり多焦点レンズの特徴に慣れないひとがあり多焦点レンズを単焦点レンズに入れ替えることが必要になることもあります。